阪神淡路大震災を調査して
昔は地震と言えばグラグラッと大きく揺れる「横揺れ型」が殆どでした。近年は震源地が東京湾岸に近づいて来ていることで「直下型」が起きる可能性が大きくなってきました。
直下型大地震は通常表現されているような「タテユレ」などと言っていられないほど激しいもので、ゴォーッと地底からウナリ音が湧き上がってきて、人々が恐怖に身がすくんだところへ、ドカーンといきなり突き上げて来る地震なのです。同時にグラグラッと激しい横揺れが伴う地震でもあるのです。
そのため同じ地震度7や8としても、まず始めのドカーンで柱が土台から浮き上がり、2階の梁も屋根も同じように浮き上げり、そこへ大きな横揺れですから、大抵の在来軸組み工法の家は倒壊してしまいます。
6,400人余りの人々が亡くなられた阪神淡路大震災では、まず最初のドッカーンで高速道路や鉄橋、7~8階建て以上の高層ビルやマンションなどの1階部分が崩壊してしまいました。木造在来軸組み住宅などは、今日のような丈夫な構造金物を使用していないため、外周の壁を残して、内部の柱や壁、梁、屋根などが粉砕して堆積し、高さ1.5メートル位のゴミ置場然としておりました。しかも、この様な状態になるのにドッカーン・ガシャガシャという数秒間のことですので何処へ逃げられるでしょうか。
テーブルの下?とんでもありません。アッとすくんでいる間の数秒間で粉々に破壊された材料の下敷きになり埋まってしまうのです。
中には一家5人全員が亡くなりましたなどと案内板が立てられている家が何十件とありました。
後年、所用で関西に出張した折に、小豆島に渡り地震で破壊(半壊)された鉄筋コンクリート造りの2階建住宅を見学したのですが、80センチメートル立方の金庫や大型冷蔵庫がコッチの壁から3.6メートル離れたアッチの壁に飛んで行って突き刺さっておりました。数十トンという地球の力で突き上げるのですからショックの力は相当なものなのでしょう。
この様な突き上げの破壊力が「直下型大地震の怖さ」なのです。
この破壊力に対してどのような対応をしていかなければならないか。という問題に対して、構造計算が成立しないとだめだと思うのですが、未だに法整備されておりません。結局は見様見真似で各施工者が対応することになりますが、「タテユレ」と表現しているようではとても「直下型大地震の怖さ」を理解しているとは思えません。
以上に対し、二十数年間弊社は研究し、実施し、そしてまた研究し、実施を繰り返すことをして参りました。